展覧会解説

THEハプスブルグ展ショート解説


バルトロメウス・スプランゲル“ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍える”1590-05

「THEハプスブルグ展」の見所

ハプスブルグ家の発展の源はとんでもない皇帝フリードリッヒ3世だった!

ハプスブルグ家は、13世紀の始祖ルドルフ1世以来、650年あまり続いたオールヨーロッパ的帝国です。ハプスブルグ家の多民族の融和・協調の精神こそが、現在の欧州連合の源といえます。

このハプスブルグ家の躍進のもとを作ったのが、15世紀の神聖ローマ皇帝フリードリッヒ3世です。さぞ英明でりっぱな君主と思われるでしょうが、とんでもなくケチで、決断力もなく何かあるとすぐに逃げる男でした。どうしてこのようなとんでもない皇帝がハプスブルグ家を飛躍させたのでしょうか?少しだけお話すると、当時ヨーロッパで最も栄えたブルゴーニュ公国の富と文化を彼のおかげで、ハプスブルグ家は受け継ぐことができたからです。あとは解説講座をお楽しみに!!

ハンス・ブルクマイア画 フリードリッヒ3世

さらにハプスブルグ家には、もう一人フリードリッヒ3世と同じように、敵に攻められると真っ先に逃げる皇帝がいました。ベラスケスが描いた王女マルガリータの夫である皇帝レーオポルト1世です。しかし、この虚弱なレーオポルト1世の治世が終わる頃には、オーストリアは繁栄するフランスと並ぶ大国となっていました。このユニークな二人の皇帝たちは結婚政策と並ぶ、ハプスブルグ家の偉大な家訓を残しました。その家訓はハプスブルグ家に長い繁栄をもたらしました。それがどのような家訓か、講座を楽しみにしていて下さい。

ベンジャミン・フォン・ブロック画レオポルト1世

今回のハプスブルグ展の見所の名画の数々

一番の見所は17世紀バロックの巨匠ベラスケスのマルガリータです。ベラスケスのマルガリータを描くタッチが注目点です。この自在なタッチは印象派のもととなりました。どのようなタッチかは、解説講座をお楽しみに!!

またドイツルネッサンスの偉大な画家デューラーの“若いヴェネツィア女性の肖像”も素晴らしい作品です。今回はベラスケスのマルガリータの金髪とデューラーの女性の金髪を比べて見たいと思います。解説講座で詳しくお話します。

またエル・グレコの閃光きらめく恐ろしき受胎告知も見所です。数ある受胎告知の名画で最も劇的な作品です。ルネッサンスの受胎告知との違いが注目点です。

さらにウィーン美術史美術館のコレクションのもとを作った奇人ルドルフ2世に仕えた画家スプランゲルの官能的な二つの神話画も楽しみな名画です。一度見ると忘れられないような艶かしさがあります。クラナッハの“サロメ”も美しさでは負けていません。

◎フランスはぐるりとハプスブルグ家に囲まれているので、どうしてもフランス王家とハプスブルグ家の対立がヨーロッパの歴史の軸となります。講師の著作の「名画の秘めごと」には、フランス王家のお話が背景としてよく登場します。ハプスブルグ展と「名画の秘めごと」でヨーロッパ名画の通になって下さい。

◎有地京子は様々な場所でTHEハプスブルグ展解説をしておりますが、おかげさまで、多数の方のご参加をいただき、すでに満員のものもあります。現在まだ以下のものに空きがございます。

三越友の会

美術講座とおしゃれなライトフレンチ
「THEハプスブルグ」鑑賞
11月27日(金)午前11時より
東京ミッドタウンプラザ1Fオランジュ
お問い合わせは℡03-3274-8589へ

新現役ネット

THEハプスブルグ展解説
11月5日(金)2時~3時半
東京都港区芝5-31-10
サンシャインビル9F
お問い合わせはTEL03-5730-0161へ

THEハプスブルグ展ショート解説

神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の宮廷画家スプランゲルの官能的な名画

図バルトロメウス・スプランゲル“ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍える”1590-05

一度見ると忘れられない北方のエロスを描くのが、イタリアのマニエリスムの影響を受け、優美に引き伸ばされた裸体画が得意なスプランゲルです。

この作品の前面に描かれるエロティックなカップルは、ギリシャ神話のぶどう酒の神バッコスと穀物の女神ケレスです。二人は背景のヴィーナスとキューピッドから立ち去ろうとしています。

二人に去られたヴィーナスたちは凍えています。パンとぶどう酒がなければ、愛も冷めるということです。

注目点して見て頂きたい点ですが、穀物の女神ケレスの前髪は麦の穂になっています。

またシースルーのケレスの衣装からは胸が透けてみえ、おへそも丸見えです。スプランゲルは何と隠微なエロスを描くのでしょうか!!

バッコスはぶどう酒の神らしく、ぶどうの葉の冠を付け、ぶどうを手に持っています。

この作品の巧みな構成は、講師のTHEハプスブルグ展解説講座でお楽しみに!!

展覧会解説

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