名画解説

バルビゾン派の先駆者コロー(1796-1875) 

2008年 三越カルチャーサロン “西洋名画を楽しむ” 名画講座講師 有地京子の解説より

バルビゾン派の先駆者ともいえるコローは少し特異な画家だった。基本は穏やかな新古典主義だが、ロマンティックな心情を表すロマン主義的風景画で有名となり、その風景画には印象派的な要素も含まれていた。(*バルビゾン派は理想化されない、ありのままの自然を描いた。)

コロー晩年の人物画の最高傑作 コローのモナリザ

この作品は画家が死ぬまで客間に飾っていた秘蔵品。コローの描く人物はブルジョワ階級の肖像画でなく身近な女性や子供で、ここが身の回りを描いて写実主義的。モデルは近所の古織物商の娘、ベルト・ゴールドシュミット。エックス線調査によると、実はモデルとは似ておらず、顔は古典的でラファエロ風になっている。コローの永遠の女性だからかもしれない。コローは母を美しい夫人と呼び、マザコンで生涯結婚しなかった。“真珠の女”はコローの求めた女性像なのだろうか。

  • モナリザと同じピラミッド型の安定した構図は古典主義的。あるいは新古典主義的。(古典主義も新古典主義も普遍的なもの、安定したものを求めるという基本は同じもの)
  • モデルはコローのイタリア土産の民族衣装を着ていて、この作品はイタリアへの思い出に満ちたロマン主義的なもの。光に対する関心や闊達な筆使いは印象派的。
  • まさに ロマン主義から新古典主義、写実主義、印象派へと続く時代の接点にコロー独特の世界を描いた。コローは長生きしたので、この時代の色んな要素を含む画家となった。
  • 真珠の女という題の意味は、額に付けている木の葉の影が、真珠と間違われたために、こう呼ばれるようになった。

コロー“真珠の女”1869-70 油彩70×55 ルーヴル美術館

名画解説

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